- 退職を上司に言い出せない…
- どうやって「退職します」と言えばいい?
- でも、どうしても辞めたい
多くの薬剤師が一度は転職を経験しますが、「退職します」の一言をなかなか言い出せずに悩むケースは多いです。
現役病院薬剤師のやくごろうは、前の職場がクセのある上司だったので「退職を無理矢理止められて辞めさせてもらえない」同僚がたくさんいました。
そして、私も実際に転職を経験しましたが、「辞めます」と伝えるまでとても苦労しました…。
そこで今回、「薬剤師の退職で正しい伝え方5つと退職理由4つ」について実体験をもとに解説します。
この記事を読めば、スムーズに退職するために
- どうやって「退職します!」と言えばいいか、
- 退職理由は何を言うべきか
がわかります。
退職を伝えるのはかなりのストレスですが、ここまでが転職活動の一つです!乗り切りって新な一歩を踏み出しましょう!
薬剤師の正しい退職の伝え方5つ
薬剤師の退職交渉では、退職理由だけでなく「退職の伝え方」が非常に重要です。
伝え方を間違えると、スムーズに辞めさせてもらえず退職を引き延ばされてしまうことになりかねません。
ここから、薬剤師がスムーズに退職するための「正しい退職の伝え方5つ」を解説していきます。
- 退職する時期を決める
- 直属の上司に伝える
- 転職先は言わない
- 決定事項として伝える
- 伝えた記録を残す
薬剤師の退職伝え方:①退職する時期を決める
まずは退職する時期を決めます。
ここが決まっていないと、
「今は人がいないから、〇月まで待って」
と言われ、うやむやになってしまいます。
その後の交渉も進みにくくなりますね。
退職意思の期限は、
- 法律:2週間前(民法第627条第1項)
- 就業規則:2週間~1カ月前(企業による)
この二つは必ず遵守する必要があります。
まずはあなたの就業規則を確認しましょう。
ここまでが「最低限」ですが…
あくまで「ルール」であり、引継ぎや有休消化の期間を考えると短すぎます。
「来月いっぱいで退職します」
と短すぎる期間を伝えると、上司も感情的になりトラブルになります。
最悪の場合、すでに決まっていた転職時期を無理矢理後ろ倒しにされることもあります。
円満退職するなら、最低でも2~3カ月前には伝えるがいいでしょう。
「そんな先の予定なんて…」と思われる方もいるかもしれません。
別の職場に転職する場合は、転職先の勤務開始日が決まっているはずなので、それまでに退職する必要があります。
このため、余裕をもって「退職します」と伝えるには、転職先の勤務開始日の交渉から意識することが必要です。
やくごろうの退職スケジュール
やくごろうは下記のスケジュールで転職しました。
やくごろうの退職スケジュール
- 転職先の勤務開始日を
「4カ月後の〇月1日から」と職場見学時点で交渉 - 翌月内定後、「3カ月後に退職します」と上司に意思表示
- 「2カ月間引継ぎ」
+「1カ月間有休消化」を過ごした
ここで最も重要なのが、①転職先の勤務開始日交渉です。
転職先にも、「4か月後はだいぶ先だな…」と言われましたが、
「今の職場に迷惑をかけないよう、しっかりと引継ぎをしたいので」と伝え、OKをもらいました。
後から聞いた話では、
「退職する職場に気を遣う姿勢が好印象」だったそうです。
採用側からすると、
「いい人材を採用>1~2カ月でも早く採用」が最重要であり、時期が遅いから不採用というケースは少ないように思います。
面接に進んでからの勤務開始日交渉は、面接官に「思っていた時期と違ったな…」となりそうだったので、見学の時から相談した方がいいです。
「立つ鳥跡を濁さず」の気持ちが評価してもらえました。
転職先の勤務開始日が決まれば、その後全てのスケジュールが決まります。
何よりも先に決めるようにしましょう。
そして、有休を消化するなら、遅くても2カ月前には「辞めます」と言いましょう。
ちなみに、退職時に有休を消化させないのはパワハラとして訴訟になっています。
都立病院でパワハラが訴訟になった事例は別の記事で詳しく解説しています。
>>>病院薬剤師のパワハラ事例!訴訟に発展したケースを解説
薬剤師の退職伝え方:②直属の上司に伝える
退職を伝える相手は直属の上司で管理職である「薬剤部長、薬局長」です。
管理職ではない先輩に先に話して、間接的に上司の耳に入ってしまうと、
- 「自分から言ってくれなかった」
- 「無視された!」
と思われ、感情的になりトラブルになりやすいでしょう。
しかし、一番困るのは直属の上司との人間関係が理由で退職する場合です。
この場合、とても言い出しにくいですが…
結論ですが、避けては通れません。
「退職」は管理職に必ず伝わることなので、いずれは直接話す機会がくるでしょう。
いずれ直接話さなければならないので、最初に話しましょう。
うやむやにされないように、
立ち話はNGです。
「折り入ってお話がありまして、午後○時から30分ほどお時間いただけませんか」
と明確に伝えるべきです。
薬剤師の退職伝え方:③決定事項として伝える
「退職します」と伝える時は、必ず決定事項として伝えます。
退職するかしないかは、労働者の自由です。
つまり、決めるのは上司ではなくあなた自身です。
「相談」ではなく、退職するという決定事項を事後報告しましょう。
×退職させてください。
×転職しようと思っています。
×相談したいことがありまして…。
→「〇月いっぱいで退職(転職)します。」
が正解です。
少しでも迷っている素振りを見せると、上司からすれば
- 「こういう言い方をするなら、まだ迷っているんだな」
- 「今なら引き留められるかも」
- 「もう一度考え直せ!」
と解釈されていまい、強引に転職時期を先延ばしにされる可能性があります。
ここまできたら、上司から何を言われても関係ありません。
合言葉は、
「ありがたいお言葉ですが、もう決まったことなので、ご迷惑をお掛けします。」です。
やくごろうは上司と面談の前に何度も唱えて練習しましたが…、思ったより引き留められなくて少し寂しかったです。
薬剤師の退職伝え方:④転職先は言わない
退職交渉時に上司が気になるのは、あなたが「どこに転職するか」です。
一般的な会社員なら会社同士のつながりは強くないかもしれませんが、薬剤師の業界は本当に狭いです。
「今の上司が転職先の上司に連絡してネガティブ情報を流す」という最悪なケースが起こる可能性があります。
「あんなところに行くなんてやめておけ」
と言われて嫌な気分になることもあるでしょう。
上司としては、あなたがどこに転職するか興味があるかもしれませんが…
上司の知的欲求を満たしてあげる必要はありません。
薬剤師の業界は薬剤師会や学会などとても狭く、上司が連絡を取ろうと思えばとれるケースも多いです。
転職先を伝えるのは、
デメリット >> メリット
なので、言わない方が無難です。
転職先を伝える場合は、本当に理解のある上司の場合だけにしましょう。
合言葉は、「身の回りを整理してから探すつもりです。」。
薬剤師の退職伝え方:⑤伝えた記録を残す
口頭で「退職します」と伝えただけでは、「聞いてないよ」と言われ退職を先延ばしにされるケースがあります。
このため、退職する旨を伝えた記録は必ず残すようにしましょう。
退職を伝えた記録を残す方法2パターンを解説します。
- 退職届(退職願)の提出
- 職場のメール
①退職届(退職願)
書面で伝える方法です。
退職届と退職願はどちらでもいいようです。
上司に「退職します」と伝える日に準備しておき、一通り話し終わったあとに「お時間いただきありがとうございました。宜しくお願いします」といって渡しましょう。
ドラマみたいにいきなり渡すとビックリされますよね
退職の話をした後日でもいいですが、なるべくなら1回で済ませたいですよね。
やくごろうは聞いた話でしかありませんが…
中には、「書面の受け取りを拒否する」という上司もいるようです。
この場合は、メールを利用しましょう。
②職場のメール
退職に必要なのは、書面ではなく「退職の意思表示をした証拠」です。
メールは送信日と送信した事実が残るため、記録として有用です。
当然、いきなりメールで退職を申し出るのは禁忌ですが…
上司と話し終わった後で、話す時間を設けてもらったお礼のメールを送ると、相談した事実が残ります。
やくごろうはこの方法を使いました。
「今日はお忙しい中、お時間を頂きありがとうございました。今後も手続きなどでご迷惑をお掛けすることがあるかと思います。退職日まで円滑な引継ぎと業務を精一杯努める所存ですので、何卒よろしくお願い致します。」
お礼メールを送ると、後で「聞いていない」と言われても安心ですね。
もし、メールの返信で「急に退職だなんて非常識だ」と返ってきても、最後の悪あがきだと思って無視しましょう。
薬剤師が職場に伝えるべき退職理由4選
ここまで、退職の伝え方を解説してきました。
上司に退職を伝えるとき、必ず「~なので退職します」と理由とセットで伝えることになります。
この「~なので」の理由で下手なことを言ってしまうと、上司にあれこれ文句を言われ、最悪の場合「退職を認めてもらえない」ことになりかねません。
退職理由は「自分の本音をそのまま伝える」ことが決して正解ではありません!
ここから、薬剤師が伝えるべき退職理由4選を解説します。
- 退職理由は「建前100%」で
- 職場批判は絶対禁忌!
- 最強の理由「家庭の事情」
- ポジティブな「スキルアップ」
伝えるべき退職理由:①退職理由は「建前100%」で
あなたが退職しようとしている理由は何ですか?
薬剤師の退職理由のほとんどが、
- 人間関係
- 残業の多さ、休みの少なさ
- 給料の安さ
が理由とされており、何かしらネガティブな理由が含まれています。
しかし、退職理由は決して「自分の本音をそのまま伝える」ことが正解ではありません!
もし、あなたが上司だったら…
- 「人間関係が悪いので退職します」
- →どこの職場に行っても一緒だよ
- 「残業が多いので、休みが少ないので辞めます」
- →あなたが辞めたら他のみんながもっと大変になるじゃん!
- 「給料が安いので退職します」
- →転職を繰り返すと昇進できないから、長い目でみて給料は上がらないよ
と言いたくなりませんか?
前の職場では、このパターンで失敗する人が多かったです。
「本音じゃなかったら嘘?」
「嘘をつくのは気が引ける…」
という方も多いです。
嘘をつくのではなく、あくまで「建前で話すんだ」と自分に言い聞かせましょう。
ここでいう建前とは、「ネガティブな表現や批判をしない」ということです。
次の項目で詳しく解説していきます。
本音を言うのは、上司が本当に信頼できるときだけにしましょう。
伝えるべき退職理由:②職場批判は絶対禁忌
今の職場をディスるような理由は一つたりとも禁忌です。
本当の退職理由は人それぞれですが、人間関係、残業・休み、給料…など何かしらネガティブな理由が含まれていることが多いと思います。
退職を直接伝える上司には関係なかったとしても、
- 同僚の○○さんとうまくいかないので辞めます
- この職場は休みが少ないので辞めます
など、職場に対する批判をしても何も生まれません。
上司に「こうやって解決するから」と言われて引き留められてもいけませんし、上司が「責めらた」と思って感情的になってしまい話が進まなくなるケースがあります。
どんなに職場に不満があったとしても、それを伝えるメリットは一つもありません。
職場の批判は絶対禁忌です。
今までお世話になった職場に、本当の退職理由を言えないのは不誠実と感じるかもしれません…。
せめて批判や悪口を言わないことで、お世話になった職場や上司のメンツを立ててあげましょう。
伝えるべき退職理由:③最強の理由「家庭の事情」
退職理由で職場批判を避けるのであれば「家庭の事情」が最強です。
「家庭の事情」は、「職場は決して悪くないけど、仕方ないんです」という理由になるため、誰も傷つけずに退職できる理由です。
これで退職交渉を失敗することはほとんどないですね。
- 「結婚するため通勤が難しくなります。」
- 「親の仕事を手伝うことになりました。」
- 「親の介護で通いやすい職場にしようと思います。」
が代表的な理由ですね。
女性の場合、結婚して寿退職や育児が最も退職しやすい理由です。
…逆に、最も辞めやすい「結婚や産休育休」を経験しても続けている人が多い職場は、本物のいい職場である証だと思います。
>>>病院薬剤師が失敗しない職場の選び方
男性の場合は、「結婚に伴う転居」はまだしも、出産はあまり理由にならないですが…。
「親の介護」が多い気がします。
上司からすると、「そんなの本当かよ!?」
とツッコミを入れたくなりますが、あなたが一貫して主張すれば関係ありません。
実際、前の職場では多くの人がこれで辞めていきました…
やくごろうの先輩は、
「親の介護で遠く離れた実家に帰る」と嘘を言って辞めて、近所の学会で元上司にばったり会っていました。
…当然、怒られません。
その先輩は、もう職員ではないので。
退職の伝え方は「辞めること」がゴールなんだと感じた瞬間でした。
伝えるべき退職理由:④ポジティブな「スキルアップ」
私が転職したときは、明らかな嘘は少し気が引けたので、「もっと勉強するため」とポジティブな理由にしました。
(「親の介護」と言って学会でばったり会った先輩を見たばかりだったので… )
この時のキーワードは
「この病院・薬局にはない〇〇を学ぶため」です。
今の病院でどうしようもないことであれば、今の職場を批判することなくポジティブにとらえることができます。
私の場合は、「今の病院よりももっと症例数が多く、今の病院にない血液内科や精神科も学ぶため」としました。
調剤薬局であれば、他の診療科や在宅医療などになりますね。
ただ、当時の上司からは「今の職場でももっと勉強することあるだろ!」と言われましたが…なんとか耐えました。
退職を伝えるのが不安な人は薬剤師転職サイトでアドバイスを
これから退職を考えている人の中には、「どうしても不安」という人もいるかもしれません。
転職先を探すのに転職エージェントを利用した人は、転職エージェントに「退職方法」を相談するのもありでしょう。
転職エージェントは転職のプロですし、転職を成功させて初めて成果になるので、必ず協力してくれるでしょう。
特に、
- 病院→調剤薬局
- 病院→中小病院
の時は、圧倒的に効率よく転職先を探せるので、転職サイトの利用をおすすめします。
>>>病院薬剤師の効率的な転職先探し方:具体的ツールと4つの手順
しかし、
転職エージェントに紹介された転職先でない場合はどうすれば…
という方もいると思います。
この場合、一つだけ方法があります。
転職活動時に、「自分の市場価値を診断」しておくことです。
転職サイトは、「利用したら必ず転職しなければならない」ということはあり得ません。
いい条件の職場がなかったら、転職しなければいいだけです。
転職サイト経由で転職エージェントに相談することで、
- 今のあなたがもし転職するなら年収いくらいなるか、
- どういう転職先があるか
が分かります。
この時に、一緒に退職方法のアドバイスももらっておきましょう。
私も実際にやってみましたが、完全無料ですし、意外と面倒くさくなかったのでおすすめです。
実際にやってみたときの体験は別の記事で詳しく解説しています。
>>>【リスクなし】薬剤師が自分の市場価値を診断するたった1つの方法
まとめ:薬剤師の退職は2~3カ月前に批判せずに伝える
ここまで、薬剤師の退職で正しい伝え方5つと退職理由4つを解説してきました。
薬剤師の退職は、「早め(2~3カ月前)に、職場の批判をせずに伝える」が重要です。
やくごろうの転職活動の経験では、
転職先を探すよりも、退職を切り出す方がストレスが大きかったです…。
「怖い上司に退職を言い出しにくいから、転職の決意がつかない」という方も少なくないと思います。
しかし、ここを切り抜ければ新しい未来が待っています。
私自身、退職交渉で多少のストレスはありましたが、決意してよかったと思っています。
今回の記事は、そんな方の参考になれば幸いです。
病院薬剤師が年収を上げるには、職場選びが重要です。
このサイトでは、病院薬剤師が年収をあと150万円あげる3つの力について解説しています!
3つの力のうち、本当に知っておいてほしい「職場」の力について現役病院薬剤師やくごろうがまとめています。