こんにちは、病院薬剤師のやくごろうです。
今回は、「新人病院薬剤師の初年度完全マニュアル」についてです。
これから病院薬剤師として働くことが決まったあなたは、きっと「これから病院薬剤師として成功したい!」「成功しなくてもいいから、失敗したくない」と思っているのではないでしょうか。
病院薬剤師として少しずつ経験を重ね、多くの新人病院薬剤師と接していくなかで、「この新人はデキる」とか、「もっとこうすればうまくいく」と思うことが増えてきました。
現役病院薬剤師やくごろうが考える、これをやっておけば間違いない、新人病院薬剤師の初年度完全マニュアルをお届けしたいと思います。
新人病院薬剤師の初年度完全マニュアル
4月
- 同期と打ち解ける
- プライドは全て捨てる、見栄を張らない
- 先輩の名前を覚える
- 目標を1カ月、6カ月、1年で立てる
- 知識に走らない
- 無理をしない
- 積み立てNisaを始める
何事も始めが肝心です!
病院薬剤師になりたてのあなたを迎えるのは、これから長い時間を共にする同期と、百戦錬磨の先輩たちです。
学生時代や前職のあなたがどのような感じだったのかは関係ありません。
同期との能力の多少の差は、ほんの誤差です。差がつくのは、スタート時点ではなく、後半からの伸び率です。
職場カーストの最下層であることを自覚し、変な見栄を張らないようにしましょう。先輩たちはあなたを、味方になりそうか、敵になりそうかという目で見ています。
職場の味方として受け入れてもらう努力をしましょう。
そのために、薬の名前より先に先輩の名前(得意分野も)を覚えましょう。一人で薬の勉強する時期ではありません。頑張りすぎると「あれは続かないぞ」という目で見られます。やるなら家でこっそり勉強しましょう。
社会人になりたてのあなたは、焦って変な保険に入ることだけは避け、時間に余裕があるうちに積み立てNisaを始めるために証券口座を開設しましょう。
5月
- 業務を回す、歯車の一部として全力で務める
- モノの場所を覚える
- 昼食は食堂でみんなと食べる
- GWは全力で休む
少しずつ業務にも慣れ始めた時期です。後半に薬剤師免許が届くため、それまでは部門配置のローテーションも少ないと思います。
「薬剤師として」はまだ少し抑えて、業務を回すこと最優先に意識しましょう。業務を回せるメンバーの一員になって、初めて職場に仲間として認めてもらえます。
どんな人であれ、業務は遅かれ早かれできるようになると思います。ポイントは、そこまでいかに短い期間で到達できるかです。
マニュアルなどを全て覚えるには時間がかかります。あなたにできることは、「どこになにが書いてあるか」を知ることです。「〇〇の時は△△にある××をみる」をマスターしましょう。
慣れてくると、よく話す先輩、話す機会が少ない先輩が分かれてきます。なるべく多くの先輩と会話する機会を得るために、食堂でみんなとお昼を食べることをオススメします。(一人で食べるのは禁忌です。気持ちはわかりますが…)
6月
- 同期との情報共有を欠かさない
- 電子カルテの使い方をマスターする
- こっそり相談できる先輩を見つける
- 医療薬学会に入会する
- 病院薬学認定薬剤師の研修単位を集め始める
調剤→注射などの、部門ローテーションが多い時期です。同期と同じ失敗をしていては効率が悪いので、情報共有をして同じ失敗を避けるようにしましょう。
電子カルテが使いこなせると、業務効率と1回に得られる知識の量が大きく変わってきます。業務の一環として、電子カルテの使い方は早い時期にマスターしましょう。
同時に、社会人の厳しさを感じ始める時期でもあります。
ある程度先輩たちの人柄はつかめてくると思います。内緒でこっそり相談できる先輩の存在は、きっとあなたの精神的な支えになるはずです。
薬剤師の認定制度は、「会員継続〇年」や「年間最低〇単位を△年継続」という条件がついたものがいくつかあり、医療薬学会の認定と日病薬病院薬学認定薬剤師制度はその一例です。
認定を取りたいと思ってから数年かかってしまうので、この2つは初年度から準備をしましょう。
7月
- 処方解析を自主的に始める
- 先輩に勉強会に連れて行ってもらう
- 勉強法を聞く
先輩たちが、「あの新人はあまり勉強してないけど大丈夫か?」と思い始める時期です。
「自主的」に処方解析をしましょう!あなたが調剤したその処方は、なぜ処方されているのか電子カルテで確認しましょう。
勉強会が増えてくる時期です。今はオンラインでの勉強会が多いと思いますが、必ず先輩と一緒に出るようにしましょう。
勉強会でわからなかったことは先輩に聞きましょう。一人で行くより、得られる知識が何倍も違います。ついでに勉強法も聞きましょう。
8月~9月
- 夏休みはしっかり休む
- 人を選んで、「なにか手伝えることありますか?」と声をかける
夏休みは、仕事のことを忘れましょう。社会人として「休む」ことの大切さを感じてください。
夏休みシーズンは職場の人手が足りなくなる時期でもあります。
先月一緒に勉強会に出て、勉強法を聞いてきた後輩から「なにか手伝えることありますか?」と聞かれたら、絶対にうれしいですよね。
もちろん、無茶な仕事を振らない人に、タイミングを見計らって声をかけることが重要です。大切なのは「声掛けしたという事実」です。
10月
- 医療薬学会に連れて行ってもらう
- 電子カルテで医療用語を調べまくる!
- 半年間を振り返る
大きい学会に先輩に連れて行ってもらい、学会で効率のいい動き方を学びましょう。これは先輩に聞かないと最初は難しいと思います。
また、学会では知らない用語がたくさん出てきますし、電子カルテをみても知らない用語だらけと気づくでしょう。
まずは用語を片っ端から調べ、電子カルテの記載内容を解読できるようになりましょう。
最初に立てた目標を振り返り、理想と現実のギャップを確認して下さい。そのうえで、1年後の目標を修正しましょう。
11月~12月
- 電子カルテで症例解析をする
- 解析した症例について病棟薬剤師に聞いてみる
- 日病薬病院薬学認定薬剤師の研修単位の進捗確認
用語がだんだんわかってきたら、症例解析をします。その患者さんがガイドライン通りの治療をしているかを確認すると早いです。
もし不明なところがあれば、頃合いをみて病棟薬剤師に聞いてみると、部内の関係も広がると思います。
1月~2月
- 1年を振り返る
- 達成できてないことがあれば重点的に取り組む
- 次年度の学会発表の演題探し
1年の目標を早いうちに振り返り、少しでも近づくように軌道修正しましょう。
次年度は学会発表を経験するといいですが、演題募集の多くは初夏くらいなので、この時期に意識するといいでしょう。
3月
- マニュアル改定作業を手伝う
- Word、Excelをマスターする
新人の年度末業務として、担当した部門のマニュアル改定を依頼されることが多いと思います。
せっかくなので、社会人としての文章の書き方、資料のまとめ方を意識しましょう。
Word、Excelは業務を行う上で必須のツールでもあるので、早いうちにマスターしておくと、今後の仕事が捗ります。
通年
- 表情に気を付ける(最重要!!笑顔で!)
- 先輩からの課題には必ずレスポンスする!
- タッチタイピングの練習
新人は、表情には特に気を付けましょう。
「なんかいいな」って思っている人って、たいてい笑顔じゃないですか?先輩たちも、あなたたち新人のことを知らないので、やっぱり怖いのです。
新人薬剤師は、薬の知識があるないよりも、人当たりがいいかどうかの方が重要です。どんな薬よりも笑顔が効く時もあります。
マスクで表情もわかりにくいですが、マスクをしていても笑顔とわかるような表情を練習しましょう。
先輩から「これ調べておいて」と課題を出されることがあると思います。それに対して、正しく回答することも大事ですが…、なによりも大事なのは、「レスポンスがあるかどうか」です。
あなたが先輩だったら、課題を出したにも関わらずレスポンスがなかったら悲しくないですか?
わからないなら、「ここまで調べたんですけど、わからなかったです」って言ってもらったほうがいいですよね。
これからカルテに記録を残す機会が増えます。タッチタイピングができれば大幅に時短になるので、初めから練習しておきましょう。
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