こんにちは、病院薬剤師のやくごろうです。
今回は、「【日病薬病院薬学認定薬剤師】取り方と注意点!体験をもとに解説」についてです。
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日病薬病院薬学認定薬剤師とは
「日病薬病院薬学認定薬剤師」とは、ざっくりまとめると”幅広く活躍する病院薬剤師”を日本病院薬剤師会が認定する制度です。
病院薬剤師の専門・認定制度はがん、感染、緩和ケアなど様々なものがありますが、日病薬病院薬学認定薬剤師は病院薬剤師として一番ベーシックな部分に当たる認定制度です。
認定取得のメリット
誰もが知っている知名度の高い認定
日本中の病院薬剤師の多くが加入する日本病院薬剤師会が認定する制度であり、知名度はとても高い認定です。
規模が小さな学会の認定制度などで知名度が低く、「○○認定薬剤師です」と言っても通じなければ意味がないですよね。
誰でも知っている認定であるからこそ、誰でも持っていることをアピールできます。
様々な認定制度のベース
日病薬病院薬学認定薬剤師であることを申請条件としている認定として、
- がん薬物療法認定薬剤師
- 感染制御認定薬剤師
- 精神科薬物療法認定薬剤師
- 妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師
- HIV感染症薬物療法認定薬剤師
があります。
これらの認定をとるには、日病薬病院薬学認定薬剤師である必要があります。
※ただし、日本医療薬学会の専門薬剤師制度により認定された専門薬剤師であればこれを満たすとされています。(論文が必要なので、ハードル高いです)
疾患領域を問わない
日病薬病院薬学認定薬剤師は疾患領域を問わない認定制度です。
そのため、申請や更新に症例の提出は不要とされています。
逆に、専門が細分化されたがんや感染などの認定は、申請や更新に症例が必要になります。
例えば、がん薬物療法認定薬剤師は更新に25症例の介入実績が必要です。
もし、抗がん剤業務を担当しているあなたが、急に整形外科病棟に配置転換になったら…更新はかなり大変になりますね。
実務経験から3年で取れる
一般的に、専門・認定制度は実務経験5年を求められるものがほとんどです。
逆に、実務経験5年未満の薬剤師が取れる認定はとても限られています。
3年経過時点で申請可能なので、他の専門・認定制度をとれるようになるまでの「薬剤師3~5年生の頑張っている証拠」となります。
実務経験が足りずに他の認定・専門を取得できない薬剤師でも、転職活動の際にアピールできますね。
認定の条件
2021年3月時点では以下の3つを満たすことが条件となっています。
- 日本病院薬剤師会正会員又は特別会員(保険薬局勤務・大学教員等の薬剤師)であること
- 過去3年度を通算して50単位以上を取得し、かつ下記①~③のすべてを満たすこと
(後ほど解説します) - 日病薬病院薬学認定薬剤師認定試験に合格すること
症例、論文、学会発表は不要なので、ハードルは高くないです。
必要な単位について
一番のハードルは、単位を集めることです。
「過去3年度を通算して50単位以上を取得し、かつ下記①~③のすべてを満たすこと」について、詳しく解説していきます。
①各カリキュラムのうち、下記の項目の単位数を取得していること
②日病薬以外のプロバイダーから付与された単位は10単位以下
これらのシールの種類のうち、日本病院薬剤師会のシールで50単位必要です。
しかし、そのうち10単位までは「研修認定薬剤師制度」や「その他の認定薬剤師制度」のシールで代用することが認められています。
③毎年度10単位以上取得していること
毎年度(4月1日~翌年3月31日まで)最低10単位取らなければ、その年はなかったことになってしまいます。
注意点
年間最低単位数がある
認定を取ろうと思い立ってから少なくとも3年かかります
毎年最低10単位は必ず取っておくことをオススメします
9単位/年では、その年はなかったことになります。
最低単位さえクリアしておけば、足りない単位を1年でe-Learningで取ることが可能です。
領域を満たさないといけない
手に入れた単位の認定領域はホームページで確認できます。
後でまとめて探すのは面倒なので、自分はもらったシールの裏面に研修会名、場所、時間、領域をかならず書いておきます。
研修会自体がそもそも少ない領域があったり、研修会の参加費が高くついたりすることもあるので注意が必要です。
研修によっては1日(4単位分)で1万円するものもザラです!
こんな時は、e-Learning活用をオススメします。
e-Learningについても後で解説します。
最近では、オンライン学会も普及しつつありますね。
単位シール紛失に注意
単位シールは認定申請の際、研修記録等の添付書類として郵送で提出する必要があります。
研修記録にすぐに貼るようにしましょう。
日本病院薬剤師会のwebサイトでダウンロードし、各自印刷する方式です。
実際の研修記録の記載方法
他の生涯研修プロバイダーから付与された単位は10単位以下
薬剤師研修センターや大学や〇〇生涯研修認定なども少しだけ流用することが許されています。
ただ、流用する場合はこれらのシールの領域は「カリキュラムなし」となるので注意が必要です。
1枚のシールで複数の認定申請できない
日病薬病院薬学認定薬剤師のみを目指している人は特に問題ありません。
ただし、日病薬の専門薬剤師制度(がん、感染症、精神科、妊婦授乳婦、HIV)も目指している人は、そちらでも単位のシールが必要になります。
これらの認定申請の際にも同じシールが必要なので、どちらにしか貼ることができないので注意しましょう。
単位数の集め方
研修会の参加
主に日本病院薬剤師会が主催する勉強会や学会に参加します。
参加費がかかるのと、単位のカテゴリーが偏りがちになります。
特に、法令関係や医療安全の研修会がそもそも行われること自体少ないですね。
e-Learning
この認定制度は、地方など研修会が少ない地域でも平等に研修できることを目的として作られた制度という背景もあります。
このため、e-learningのみでも十分単位数を取得することが可能です。
毎年、年度の途中~3月31日までwebサイトがオープンします。
費用は5000円/年で、研修会参加費1回分よりも安いですね。
少ない領域の講習会もアップされているので、領域を満たしやすいというのが大きなメリットです。
産休、育休中でも認定の更新をしやすいです。
毎年最低単位の10単位だけとっておいて、足りない年や申請直前にe-lerningで残りの単位と領域をまとめてとるが、最も費用が安く効率的な取り方ですね。
所属学会の学術大会
医療薬学会、臨床腫瘍薬学会や緩和医療薬学会なども認定単位を取得できます。
これらの学会も最近では、オンライン開催も多いですね。
オンライン開催は、単位として認められる動画の種類も多く、視聴できる期間も長いため、e-learningに登録しなくても簡単に単位数と領域カバーできます。
ちなみに、2020年度第30回医療薬学会年会では、全66.5単位、全領域(I-1からV-3まで)が取得可能でした。
珍しいカテゴリーの研修は要チェックですね。
認定申請から試験までの手続き
認定申請から試験までの手続きは、2021年3月時点では下記のようになっています。
- オンライン認定申請フォームより申込・認定申請書を発行(1月~開始)
- オンラインにて発行した認定申請書を印刷し、研修記録、その他必要書類と共に日病薬事務局へ郵送(例年4月末必着)
- 審査料納付(2000円税別)・受験登録手続きの案内メールが届く
- 審査料納付・受験登録手続き
- 認定試験期間内(原則指定された3日間)に受験
- 合格者発表(6月末くらい)
- 期日内に認定料(3000円税別)を納付
- 認定証届く
認定試験
webテスト方式
自分のPCでログインして受験
出題形式は選択形式。「正しいものを〇つ選べ」など
(ほとんど「1つ選べ」だったと記憶しています)
試験時間:1時間
合格基準:受験者の成績上位10%の平均点の70%。
一律何点なら合格という基準はないが、最高でも正答率70%
ちなみに、初年度の合格率は98.4%(薬事日報調べ)
実際に受けた感想
率直に、それほど難しくないと思います。
臨床系というより、制度などの管理系が多い印象でしたが、薬剤師として普通に働いている方あれば特に対策も必要ないと思います。
事前の対策よりも、googleでさっと調べ…問題をしっかり読む力が試されます。
時間も比較的余裕ありましたが、問題数が多いためわかる問題から解いていった方がよいです。
後で見直したい問題にチェックを入れ、戻れる機能があったはず…(曖昧です)
更新要件
こちらも年間最低単位あるので注意です!
6年で合計100単位、年間最低10単位以上
なんとしてでも、毎年最低10単位はとりましょう
まとめ
日病薬病院薬学認定薬剤師とは、様々な認定のベースとなる認定
- これから専門領域の認定や専門を取得したい人、薬剤師3~5年でなにかしら認定が欲しい人におすすめ。
- 単位集めさえクリアできれば難しくない
(年間最低10単位ずつ) - e-Learningが効率良い
- 取ろうと思ってから最低3年かかる
すぐに取る気がなくても、年間の最低単位10単位は毎年とっておくことを強くお勧めします!
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