- 大きい病院と、小さい病院、どっちにしようか迷っている
- 大病院って勉強になるけどキツイんでしょ?
- 中小病院はあまり勉強にならない?
これから病院に就職(転職)を考えている人が、大病院と中小病院どちらがよいか迷うケースはとても多いです。
私は新卒で中小病院に就職し、その後大病院に転職しました。大病院と中小病院の両方を経験した現役病院薬剤のやくごろうが、経験をもとに大病院か中小病院か選び方のポイントを解説します。
この記事を読めば、大病院と中小病院それぞれの特徴と向いている人がわかり、就職(転職)した後に「こんなはずじゃなかった!」と後悔することを防げます。
「やりがい」に惑わされず、自分の大切にするポイントで決めましょう!
大病院が向いている人
- 欲しい認定の研修施設で勤務したい人
- レジデントや非正規職員の期間を我慢できる人
- 自分で勉強できる人
それぞれについて理由を解説していきます。
①欲しい認定の研修施設で勤務したい人
「がん専門薬剤師をとりたい!」
「NST専門療法士をとりたい!」
「医療薬学会専門薬剤師をとりたい!」
など、
認定によっては研修認定施設での勤務実績が条件になっているものがあります。
大病院の場合、ほとんどの認定で研修施設に指定されているので、勤務することで条件をクリアすることができます。
逆に、研修認定施設でない勤務先を選んだ場合、働きながら研修先に行かなければならなので、認定をとることはほとんど不可能に近いでしょう。
②レジデントや非正規職員の期間を我慢できる人
大病院の募集は、レジデントなどいわゆる「非正規職員」からスタートすることが多いです。非正規職員の場合は、もちろん給料は低くなります…。
正規職員に欠員が出たら、非正規職員の中から正規職員に登用されますが、それまで期間は病院によって様々です。病院見学の際に、これまでの実績と見立てではどのくらいの期間になりそうか必ず確認しましょう。
私と知人の経験では、大病院の正規職員は待遇(福利厚生やボーナスも)がよく、中小病院よりも給料が良いことが多いです。非正規職員の期間を我慢した後の正規職員の給料がいくらか、求人で公開されることはありません。直接確認するようにしましょう。
③自分で勉強できる人
大病院は業務の種類が多いので、個人で行う業務は細分化されます。おのずと自分が担当する領域は狭くなるので、それ以外は自分で勉強しなければなりません。
自分が興味のある領域と担当する業務が一致するとは限らないで、興味のある分野を自ら勉強する人の方が向いているでしょう。
雰囲気的にも、「勉強は個々に任せている」というところの方が多い気がします。
中小病院が向いている人
①チーム医療や他の職種との関りを求める人
中小病院では、大病院よりも診療科やスタッフの分野が少ないです。
例えば、外科系の患者で血糖コントロールが悪い場合、
大病院:内分泌内科へコンサルトしよう
中小病院:とりあえず薬剤師に相談してみよう
となりやすいです。
医師、看護師の数も多くないので、それぞれの職種との距離も近くなりやすいです。
特に、大病院の医師は医局人事でかなりの頻度で移動がありますが、中小病院は少ないです。
いい関係を築けた医師がすぐいなくなってしまうということも少ないです。
開業する医師と一緒に独立するパターンも、中小の方が多いと思います。
②ある程度幅広く薬剤師として活躍したい人
薬剤師の人数自体が少ないので、一人で多くの領域を担当することが求められます。
また、業務内容も調剤+病棟や、抗がん剤+病棟など、特定の業務に収まらないため、毎日単純作業だけとはなりにくいでしょう。
ジェネラリストとして幅広く活躍したい人は、中小病院の方が向いていると思います。
しかし、一人で幅広い業務を担当する分、業務量が多く手伝ってくれる人も少ない傾向があります。残業時間に要注意です。
200床未満の小規模病院では業務量自体が少ないので、残業も少ないところが結構あります。
③給料は絶対に譲れない人
ほとんどの場合、はじめから正規職員での募集です。数年間の非正規職員での待遇を我慢できない方は中小病院で探した方がいいと思います。
当直手当や土日当番の回数は給料に大きく影響します。
薬剤師数の少ない中小病院では回数が多い傾向にあります。手当の金額と一カ月の回数は必ず確認しましょう。
しかし、会社で例えると「中小企業」なので、住宅手当などの福利厚生は大企業(大病院)の正規職員よりも充実していないケースがあるので注意しましょう。
私が中小病院→大病院へ転職した理由
私やくごろうは、新卒で300床未満の中小病院へ就職し、その後500床以上の大病院へ転職しました。その理由を紹介します。
新卒で中小病院を選んだ理由
- 業務の細分化が嫌で(調剤に〇年など)、幅広い業務をしたかった
- レジデントで給料が低いのが嫌だった
大病院へ転職した理由
- 論文や学会発表でスキルアップをする際、症例数が多いことが必要だった
- 認定研修施設での勤務実績が必要だった
転職した結果、正規職員→非正規職員となり、再び正規職員となるまでの2年間は給料がダウンしました。
正規職員となった後は、福利厚生やボーナスなどの待遇がよく、新卒の職場から年収150万円くらいアップしました。
前の職場よりも他職種との関りが薄くなり担当する業務の幅も狭くなりましたが、今の職場は一人ひとりの業務量も少なく、認定や論文なども書けるようになりました。
病院薬剤師は「やりがい」だけを期待してはいけない
病院薬剤師になるときによく耳にした言葉が「やりがい」です。
「勉強になる」の意味で使われますが、あなたにとっての「やりがい」とはなんでしょうか?
スキルアップ、職場環境、給料、残業時間…人によって大切にするものは違います。
さらに、長い人生のなかで大切にするものが変化することもあるでしょう。
大病院には大病院の、中小病院には中小病院の特徴があります。
あなたにとって、どの特徴にメリットがあるのかをよく考える必要があります。
両方のいいとこどりをするには?
- グループ病院の転勤を利用する
グループ病院や分院がある大学病院、公立病院ではよく転勤があります。
自分の希望で移動できるかはわかりませんが、大病院と中小病院どちらも経験することができる選択肢です。
- 大きめの中規模病院を選ぶ
大病院か中小病院か迷ったら中間くらいの病院を探すことをおすすめします。
どちらの特徴も兼ね備えているので、極端に失敗しにくいです。
しかし、中規模病院は薬剤師一人当たりの業務量が多いので、残業時間にはよく注意してください。
病院薬剤師が年収を上げるための「職場」の力
病院薬剤師が年収を上げるには、職場選びが重要です。
病院の探し方や、失敗しない選び方はこちらの記事で解説しています。
>>>病院薬剤師の効率的な転職先探し方:具体的ツールと4つの手順
>>>病院薬剤師が失敗しない就職先の選び方
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3つの力のうち、本当に知っておいてほしい「職場」の力について現役病院薬剤師やくごろうがまとめています。