- 病院薬剤師だけど大変すぎてつらい
- 病院薬剤師は大変って聞くけど、実際に何が大変なの?
やりがいを求めて病院薬剤師になったけど、いざ働いてみると大変すぎて心が折れてしまうケースはとても多いです。
私もやりがいを求めて新卒から病院薬剤師として働き始めましたが、実際は想像以上につらい世界で何度も挫折しそうになりました。
そこでこの記事では、病院薬剤師が大変なこと15選について解説します。
この記事を読めば病院薬剤師が実際に経験した大変なことが全てわかり、最後にその解決方法も紹介します。
病院薬剤師は大変なことが多すぎてつらいですね…。あなたは耐えられますか?
病院薬剤師が大変な:給料編
病院薬剤師は給料安すぎで有名ですね。病院薬剤師が給料で大変な4つのことについて解説します。
- 基本給が低い
- 住宅手当・残業代でない
- 業績でボーナスアップしない
- レジデント・非正規職員多い
基本給が低くて大変
病院薬剤師は、数ある薬剤師の職業の中でもっとも給料が低いといわれています。
製薬会社 | 543.2万円 |
ドラッグストア | 512.5万円 |
調剤薬局 | 488.3万円 |
病院薬剤師 | 434.6万円 |
病院薬剤師の給料が低すぎる理由としては、
- 給料が低くてもやりがいを求める人の応募がある
- 病院自体の経営が悪い
- 医師、看護師に人件費が集中
などがあります。
確かに、病院薬剤師は病院の中でも「稼げる」職業ではないけど応募はあるため、待遇は良くないですね。
逆に、薬剤師自体が会社の収益に直結する製薬企業は年収100万円以上高いですね…。
住宅手当・残業代がでないと大変
病院によると思いますが、大企業である大手調剤薬局や製薬企業に比べ、福利厚生である住宅手当が出ない、もしくは少ないです。
住宅手当は手取り収入に直結するため、その金額は非常に重要です。
住宅手当が毎月2万円あれば、生活費が全然違いますね。
また、病院薬剤師は残業が必須です。
残業代を申請しにくい雰囲気がある職場では、残業した分の残業代が出ないというケースがあります。病院薬剤師の基本給はどんぐりの背比べ程度ですが、残業代がしっかり出るか出ないかで給料が全然違います。
薬剤師の残業事情は別の記事で詳しく解説しています。
>>>【裁判例あり】薬剤師の残業事情と残業代が出ない職場を見抜く2つの方法
業績でボーナスアップしなくて大変
病院薬剤師は、営業のように実績が数字になることが少ない業種です。このため、一般企業のようにボーナス査定で差がつきにくい、または評価基準が不透明ということがあります。
どんなに大変な仕事を頑張っても、評価されなければやる気を失ってしまいますね。
レジデント・非正規職員多くて大変
ただでさえ給料が低すぎて大変な病院薬剤師をさらに苦しめるのが「レジデント・非正規職員」での採用です。
勉強や研修が目的なので、給料は「出るだけマシ」なレベルです。大変な期間を乗り越えてスキルアップした後に給料が高い職場に就職できるかは、運の要素も大きいです。
※これからレジデント、非正規職員からスタートを考えている人は、
- 正規職員になれる見込みがどのくらいあるか
- 正規職員になったときの待遇
この2点は必ず確認しましょう。この情報はほとんどの求人には書いていないので、直接確認するようにしましょう。
2年間で正規職員になれて年収150万円アップなら…あなたはどうしますか?
病院薬剤師が大変な:仕事編
病院薬剤師は激務で有名ですね。病院薬剤師が仕事で大変な5つのことについて解説します。
- ルーチン業務+雑務
- 夜勤・当直
- 間違えられないプレッシャー
- 不意にくる無茶な質問
- 担当する患者数の多さ
ルーチン業務+雑務が大変
調剤や病棟業務など、ルーチンの業務も大変ですが、それ以上に大変なのが雑務です。薬剤師免許がなくてもできるような雑務でも、薬剤部員の一人としてこなします。
- 処方せんなど書類の保管や整理
- 院内向け資料の作成
- 電子カルテマスタの整備
- 業務マニュアルの作成
- 必要物品の発注
- 薬の使用実績調査
など…数えたらキリがありません。
さらに、病院は院内の委員会が多く存在し、それぞれの薬剤師に割り振られます。委員会で薬剤部が担当している業務や資料は、大変なルーチン業務の合間に出来ないことがほとんどなので、残業として行います。
夜勤・当直が大変
ある程度の規模の病院であれば、24時間薬を払い出す体制を確保するために夜勤・当直業務があります。
夜勤・当直業務が大変な点として
- 生活リズムが乱れる
- 一人またはごく少人数のため調剤過誤のリスク
があります。
しかし、給料が低い病院薬剤師にとって、夜勤・当直手当の存在は大きいので、やりたい人とやりたくない人がはっきり分かれます。
間違えられないプレッシャーが大変
薬に関することなので、間違えたときは命も危険にさらす大変なことになります。
病院薬剤師は「正しい事をしてあたりまえ」の世界です。周りの職種からもそういう目で見られます。
複数の薬剤師の目が通る調剤・鑑査ならまだしも、色々なところに間違えるリスクがあります。
複数の薬剤師の目が通りにくいものとして
- 問い合わせに間違った回答をする
- 病棟で持参薬の登録を間違える
などがあります。
ダブルチェックの体制を作ることが大切ですが、ダブルチェックのパートナーが厳しすぎる薬剤師だとよりプレッシャーが大変になります。
不意にくる無茶な質問が大変
他の職種からは、薬のことはなんでも知っていると思われます。
頼りにしてくれるのはうれしいですが、内容やタイミングを選んでもらえないので大変なこともあります。
最近では、薬の添付文書は電子カルテやスマホで簡単に誰でも見ることができます。
このため、添付文書を見て簡単に回答できる質問は多くありません。
- 「薬を15種類飲んでいる人の薬疹の被疑薬は?」
…調べるのに時間がかかりますね。
また、答えが存在しない質問もたくさんあります。
- 「〇〇に△△と××を混ぜた点滴と□□と◇◇を混ぜた点滴の配合変化は?」
…もちろんデータは存在しません。
- 「病院に採用がない薬を明日から使いたいんだけど」
…もう少し早めに連絡を…
間違えた回答をすると、即医療事故につながるので本当に大変です。
あたりまえだと思われている分、感謝もされにくいですね。
最近の薬学部教育では「考える力」や「自ら問題を解決する能力」がテーマなっているようですが、やはり重要だと思います。
担当する患者数の多さが大変
ほとんどの病院では、医師の数>薬剤師の数となっており、スタッフ一人当たりに担当する入院患者数は薬剤師の方が多いです。
医師は治療全般、薬剤師は薬物療法のみと言われますが、患者の疾患や治療内容を把握できなければ適切な薬物療法はできません。
病棟薬剤師であれば、1病棟(20~40人)を一人で担当し、1日10人以上が入退院することもザラなのでどうしても大変です。
1病棟を複数の薬剤師で担当する病院は少なく、一人だと協力して進められないので残業も大変になりがちです。
病院薬剤師が大変な:人間関係編
病院薬剤師で退職理由の多くを占めるのが人間関係です。病院薬剤師が人間関係で大変な3つのことについて解説します。
- 狭く逃げ場のない環境
- 変わった人が多い
- 誰かと誰かの板挟み
狭く逃げ場のない環境で大変
病院薬剤師の職場はとても狭いです。
一部の超大規模病院を除くほとんどの病院が
- 薬剤師の人数自体が少ない
- 移動や転勤もない
のため、一度人間関係が悪くなると逃げ場がないため本当に大変です。
特に、直属の上司や所属長との相性が悪いと最悪です。
最近、病院薬剤師でパワハラが訴訟になったケースがありますね。
病院薬剤師のパワハラについては別の記事で詳しくまとめています。
あなたの職場は大丈夫ですか?
>>>病院薬剤師のパワハラ事例!訴訟に発展したケースを解説
変わった人が多くて大変
間違いがないか確認をする仕事が多くを占める病院薬剤師の職業柄か、マジメで気難しい人が多い気がします。
「明るく朗らかな人」は、ほとんど製薬企業MRに就職してしまったのでしょうか…?
もちろん、人によって合う合わないはあるかもしれませんが、合わなければ大変です。
病院薬剤師の悩みのほとんどは、人間関係です…。
気にするなと言われても、気になってしまうんですよね。
激しく同意します。
病院薬剤師の人間関係の心得については、別の記事で詳しくまとめています。
>>>【気にしても無駄】病院薬剤師が人間関係に悩む理由と4つの心得
誰かと誰かの板挟みが大変
薬剤師は「決定する」ことが少ない職種なので、
- 医師-薬剤部(上司)
- 医師-患者
- 看護師-看護師
など、人と人の間に入って板挟みになるシチュエーションが少なからずあります。
そんなとき、自分で「決定する」ことができればいいのですが、治療方針や処方を決める権利がないので板挟みから抜け出せずに大変です。
病院薬剤師が大変な:知識編
病院薬剤師としてどんなにいい環境で働いても大変なのが必要な知識の多さです。病院薬剤師が知識で大変な3つのことについて解説します。
知識で大変なこと3選
- 必要な知識の幅が広すぎ
- 医師の判断には勝てない
- 新薬出すぎ
必要な知識の幅が広すぎて大変
研修を修了した医師は「診療科」という専門分野がありますが、薬剤師で専門分野をもつ人はごく一部です。もし専門分野をもつ薬剤師であったとしても、その領域しか知らなくて済む人はいないはずです。
調剤業務には診療科は関係ありませんし、病棟ではその診療科以外のことが薬剤師に質問されます。(医師は自分の診療科のことはたいてい知っているので…)
自分の興味がない分野でも勉強しないといけないのはやはり大変です。
医師の判断には勝てなくて大変
薬剤師には処方権がありません。どんなにエビデンスがあって、「こっちの薬の方がいい!」と思っても、最終的には「医師の判断」となります。
薬剤師がどんなに大変な思いをして正確な情報を調べても、医師の経験からくる判断が正しい場合もあります。(個人的には、「専門家の意見(エキスパートオピニオン)」も立派なエビデンスだと思っています…)
信頼関係が築けないうちは、薬剤師の意見を聞いてくれる医師は少ないので大変です。
新薬が出すぎて大変
医療は日進月歩です。毎年新薬や新しいエビデンスが出てくるので、「勉強し続ける」必要があります。
若いころは勉強する時間、気力、体力があるかもしれませんが、年齢を重ねるとともに最新の情報を手に入れる機会が少なくなってきます。
「若いころは勉強したけど、最近の薬はさっぱり…」というベテラン薬剤師があなたの周りにもいませんか?
わかってはいても、とても大変なことです。
薬剤師は本当に時間がありません。
時間がない薬剤師に向けて、簡単にできる勉強を別の記事でまとめました。
>>>【時間がない薬剤師へ】知識不足にならない6つの勉強法を解説
まとめ:病院薬剤師は大変…解決する方法は?
ここまで、病院薬剤師が大変なこと15選を紹介してきました。
病院薬剤師が大変な原因は下記の2つにざっくり大きく分けられます。
- 病院薬剤師という職種によるもの
→仕事、知識が大変 - それぞれの職場によるもの
→給料、人間関係が大変
もちろんあなた個人の努力は必要ですが、それでも大変な時は
- 病院薬剤師という職種を変える
- 職場を変える
を検討してもいいかもしれません。
私と、私の妻も実際に転職しました。
転職した時の経験は別の記事で詳しく解説しています。
>>>病院薬剤師が失敗しない就職先の選び方
>>>病院薬剤師の妻が薬局へ転職!成功した職場の選び方
私は、病院薬剤師はやりがいのある仕事だと思います。
>>>【成功事例】病院薬剤師はやりがいない?活躍する場面5つを解説
しかし、給料や残業などで転職を悩む方も多いと思います。
- 「転職か…そこまでではないんだけどな」
- 「もし転職したら給料はどのくらいになる?」
そんなときは「自分の市場価値」を診断してみることをおすすめします。
「自分の市場価値」は、転職サイト経由で転職エージェントに相談することで、
「もしあなたが転職するとしたら、どんな条件になるか」が簡単にわかります。
転職エージェントの利用は完全に無料ですし、いい職場がなければ転職しなければいいだけ、なので損はないと思います。
「転職サイトって面倒くさそう」
「連絡がしつこそう」
「転職を無理やり勧められそう」
という方に、私自身が実際にやってみた体験を別の記事でまとめました。
>>>【リスクなし】薬剤師が自分の市場価値を診断するたった1つの方法
病院薬剤師が年収を上げるには、職場選びが重要です。
このサイトでは、病院薬剤師が年収をあと150万円あげる3つの力について解説しています!
3つの力のうち、本当に知っておいてほしい「職場」の力について現役病院薬剤師やくごろうがまとめています。