新薬やニュースざっくりまとめ

新薬勉強ざっくりまとめ2021年3月1日

こんな方へ
  • 新薬がどんどん出てきて、毎回把握しきれない!
  • 新薬のどの情報が重要かわからない!
  • 今後その新薬を扱うかわからないし、まず要点だけ知りたい!

毎日激務の薬剤師は、新薬の情報をタイムリーに把握することはほとんど無理ですよね。私は病院薬剤師として大規模総合病院で勤務していますが、今後扱うのかもわからない全ての新薬を調べる時間がないので、ざっくり特徴だけ把握することにしました。

そこで、この記事では新薬の特徴と要点をざっくり簡単に現役病院薬剤師やくごろうが解説します。

この記事を読めば、これから世の中に出てくる新薬を時間をかけずに勉強でき、いざ必要になったときに調べることがとても楽になります。
毎日激務で、新薬について簡単に把握したい薬剤師の方におすすめです!

それでは順番に見ていきましょう

2021年2月25日、厚生労働省 薬事・食品衛生審議会医薬品 第二部会が開催され、新薬の承認可否が審議されました。

※ざっくりまとめ用ですので、正式な名称や用法用量は参考資料などから確認お願いします。
※正式承認は未ですので、ご注意ください。

イスツリサ錠

「クッシング症候群」に対して新規承認

成分名:オシロドロスタットリン酸塩

規格:1mg、5mg

メーカー:レコルダティ・レア・ディジーズ・ジャパン

申請適応:クッシング症候群

用法用量:通常、成人にはオシロドロスタットとして1回1mgを1日2回経口投与から開始する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、最高用量は1回30mgを1日2回までとする。

手術適応とならないクッシング症候群に対して、現在保険適用が承認されているミトタン(オペプリム)、トリロスタン(デソパン)、メチラポン(メトピロン)に次ぐ選択肢に。欧州、米国では2020年以降順次承認。

オスタバロ皮下注カートリッジ

「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」に対して新規承認

成分名:アバロパラチド酢酸塩

メーカー:帝人ファーマ

申請適応:骨折の危険性の高い骨粗鬆症

用法用量:1日1 回80μgを皮下に注射。投与期間は18カ月間まで。

テリパラチド(フォルテオ、テリボン)に次ぐ自己注製剤で新規PTH製剤。米国で2017年に承認済み。

イズカーゴ点滴静注用

「ムコ多糖症II型」に対して新規承認

成分名:パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)

メーカー:JCRファーマ

申請適応:ムコ多糖症 II 型

用法用量:2.0 mg/kgを週1回点滴静注

エラプレース点滴静注と同じアミノ酸配列であるが、ヒト化抗ヒトトランスフェリン受容体Ⅰ抗体を結合させることにより中枢神経系へ移行を可能にした製剤。

リオナ錠

「鉄欠乏性貧血」に対して適応追加

成分名:クエン酸第二鉄水和物

規格:250mg

メーカー:日本たばこ産業

申請適応:鉄欠乏性貧血

用法用量:1回500mgを1日1回食直後。最大1回500mgを1日2回まで。

慢性腎臓病患者の高リン血症治療薬に使用されているが、鉄欠乏貧血に対して適応追加。米国では2017年承認済み。高リン血症と用法異なるため注意。

レコベル皮下注

「生殖補助医療における調節卵巣刺激」に対して新規承認

成分名:ホリトロピン デルタ

規格:12μgペン、同皮下注36μgペン、同皮下注72μgペン

メーカー:フェリング・ファーマ

申請適応:生殖補助医療における調節卵巣刺激

生殖補助医療(ART)における調節卵巣刺激(COS)に対して新規承認。ホリトロピン アルファ(ゴナールエフ)が類薬。

ヴォリブリス錠

「肺動脈性肺高血圧症」に対して小児適応追加

成分名:アンブリセンタン

メーカー:グラクソ・スミスクライン

申請適応:肺動脈性肺高血圧症

用法用量:8歳以上の小児に対して、体重ごとの用量で1日1回

肺動脈性肺高血圧症に対して小児適応追加で申請。

類薬としてボセンタン(トラクリア;1歳以上小児適応あり)、マシテンタン(オプスミット;小児適応なし)

ロナセン錠、散

「統合失調症」に対して小児適応追加

成分名:ブロナンセリン

メーカー:大日本住友製薬

申請適応:統合失調症

用法用量:1回2 mg、1日2回食後経口投与より開始。維持量として 1日8~16mgを2回に分けて食後経口投与。最大1日16 mgまで。

統合失調症に対して小児適応追加申請。非定型抗精神病薬では初の小児適応。海外ではリスペリドン、クエチアピン、オランザピンなどは小児適応あり。

ユプリズナ点滴静注

「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」に対して新規承認

成分名:イネビリズマブ

メーカー:田辺三菱製薬

申請適応:視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防

用法用量:1回300mgを初回、2週後に点滴静注し、初回投与から6カ月後に、以降 6カ月に1回。

抗CD19抗体。視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)には、抗補体C5モノクローナル抗体エクリズマブ(ソリリス)、高IL-6受容体抗体サトラリズマブ(エンスプリング)が承認済み。

ケシンプタ皮下注

「再発性の多発性硬化症(再発寛解型多発性硬化症と疾患活動性を有する二次性進行型多発性硬化症)」に対して新規承認

成分名:オファツムマブ

メーカー:ノバルティスファーマ

申請適応:再発性の多発性硬化症(再発寛解型多発性硬化症と疾患活動性を有する二次性進行型多発性硬化症)

用法用量:1回20mgを初回、1週後、2週後、4週後に皮下注射、以降4週間隔。

抗CD20抗体。アーゼラ点滴静注としてCD20陽性慢性リンパ性白血病に適応あり。米国で適応あり。

ベリキューボ錠

「慢性心不全」に対して新規申請→継続審議

成分名:ベルイシグアト

メーカー:バイエル薬品

申請適応:慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)

可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬として初の慢性心不全への適応申請。左室駆出率(LVEF)の低下した慢性心不全(HFrEF)患者の心血管死または心不全による入院の複合エンドポイントの発現リスクをプラセボ群と比較して10%有意に低減。慢性心不全にはアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI);サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(エンレスト)やSGLT-2阻害薬などが最近適応取得している。慢性心不全で承認されている国なし。

インスリンアスパルトBS注「サノフィ」

超即効型インスリン;ノボラピッドのバイオシミラーとして承認

成分名:インスリンアスパルト

メーカー:サノフィ

超即効型インスリン;ノボラピッドのバイオシミラーとして承認申請

コレクチム軟膏

「アトピー性皮膚炎」に対して、小児適応追加

成分名:デルゴシチニブ

規格:0.25%、0.5%

メーカー:日本たばこ産業

申請適応:アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎に対して、小児用規格の0.25%および0.5%規格の小児適応追加。JAK阻害薬の外用剤。

やくごろうPick Up

やくごろう

骨粗鬆症治療では、テリパラチドに次ぐ2成分目のPTH製剤が登場しそうです。

慢性心不全治療は新しい作用機序の治療薬がいくつか登場しており、その中でのベリキューボの立ち位置について継続審議のようです。

過去の新薬まとめ記事や、病院薬剤師が年収を上げるための「スキルアップ」の力はこちら

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主な参考情報

厚生労働省;薬事・食品衛生審議会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/indexshingi.html

ミクスオンライン(簡単に無料で見れるニュース)
https://www.mixonline.jp/

日刊薬事(薬事・食品衛生審議会の議題は無料)
https://nk.jiho.jp/