- 病院見学で何を質問したらいいかわからない
- 働く上で重要なことは聞き逃したくない
- ネガティブなことも聞きたいけど、印象を悪くしたくない
病院見学でいい質問ができず、参考になる情報を聞けなかったり、ネガティブな聞き方をして印象を悪くするケースは多いです。
私は新卒から病院薬剤師として働き、病院から病院へ転職も経験しました。
今振り返ると「病院見学時にこれを聞いておけばよかった」と思うことが多々あります。
また、今では病院見学者の対応をすることもありますが、質問の仕方によって「この人はやる気なさそうだな…」「この人は印象いいな」と感じることがあります。
そこでこの記事では、病院見学で絶対に質問するべき内容を、ネガティブな印象を与えずに聞く方法を具体的に解説します。
この記事を読めば、薬剤師が病院見学で絶対にするべきいい質問の具体例を知ることができ、残業や休みなどについてリアルな情報手に入れ、好印象を与えることで就職を有利に進めることができます。
病院見学では、質問する順番と聞き方を工夫し、ネガティブな印象を与えずにリアルな現状を質問しましょう。
病院見学で薬剤師が絶対にするべきいい質問とは
病院見学で薬剤師が絶対にするべきいい質問とは、
- 働く上で必要な現状を聞き出す
- 相手にネガティブな印象を与えない
この二つを満たす必要があります。
「残業はどのくらいですか?」
→「月平均10時間(一日平均30分)です」と言われたとしても、
実際には残業申請ができないだけで、残業代がもらえないサービス残業だったというケースは多いです。
また、「残業は多いですか?」と聞くと、聞かれた側に「あまり熱心に仕事してくれなさそうだな」とネガティブな印象を与え、選考に影響する場合があります。
さらに、スキルや仕事内容よりも残業や職場環境について熱心に聞くと、「やる気がないな」と思われてしまう可能性があるため、
- 「質問する順番」
- 「聞き方」
この2つが非常に重要です。
質問したい内容は多くあると思いますが、スキルに関すること→職場環境の順番
で質問するようにしましょう。
ここから、病院見学でするいい質問について、スキル→職場環境の順番で具体的な質問の仕方を解説します。
さらに、病院薬剤師の独特の制度であるレジデントや非正規職員で応募する場合の具体的な質問についても解説します。
病院見学でするべき質問:スキル編 5選
見学の初めの段階では、病院の仕事やスキルについてなど、ポジティブな内容を質問するようにしましょう。
ポジティブな内容を質問することで、採用側から
「この人は前向きに頑張ってくれそうだ」
と思ってもらい、印象が良くなります。
ポジティブに受け取られやすい具体的な質問を解説します。
①今、薬剤部が力を入れている業務を教えてください。
薬剤部が力を入れている業務は、その職場で新人となるあなたがその業務を担当する可能性が高いです。
また、採用側(病院)がどの業務を「重要」と思っているのか知ることができ、今後の会話が膨らませやすくなります。
②院内で人気の委員会はありますか?逆に人手が足りない委員会はありますか?
病院薬剤師の仕事(特に残業)の多くを占めるのが委員会業務です。
病院には数多くの委員会が存在するため、あなたは何かしらの委員会に所属することになるでしょう。
人手が足りない委員会がある場合、合致する人材を求めていることが多いです。
しかし、人間関係が悪いなどの問題がある可能性があるため、希望するしないに関わらず、今後注意して情報を収集する必要があります。
面接では、どんな分野に興味がありますか?と必ず聞かれますね。
③この職場で認定を取得された方はどのくらいいらっしゃいますか?
認定取得者一覧は病院のホームページに掲載されていることが多いです。
しかし、
- 実際にその職場で取得した
- もともと認定を持っている人が転職してきた
この二つでは、あなたの認定の取りやすさが全然違います。
あなたが取得したい認定がある場合、その病院で取得した実績があるかを確認しましょう。
④この病院が研修施設に指定されている認定はありますか?
病院のホームページに書いてある事も多いですが、全ての学会を調べるのは大変ですし、見落とす可能性もあります。
⑤薬剤師の人事評価はどのような点が評価されますか?
「薬剤部が」というより、薬剤部長(見学担当者)など上司が求める人物像がわかります。
薬剤部長や役職がついている人と話す機会があれば、この質問はとても有効です。
- 上司が求める人物像
- 仕事に対してポジティブな印象
- 働いてからの評価ポイントがわかる
など、メリットが多い質問です。
この質問への回答で、上司の人柄もなんとなくわかります。
働き始めたあとは結構聞きにくいため、見学のうちに聞けるといいでしょう。
病院見学でするべき質問:職場環境編 9選
残業や給料は、面接のときには聞きにくくなることが多いです。
いかにネガティブな印象を与えずに、
参考となる情報が得られるか
が重要です。
⑥みなさんどのくらいの時間に帰られることが多いですか?
特に病院薬剤師は、自己研鑽などとの名目で平均残業時間があてにならないことが多いです。
残業時間と帰宅時間に大きな差がある場合、帰るのは遅いけど残業代がもらえていない可能性があります。
重要なのは、「帰る時間」と
「残業した分手当が出るか」です。
「残業多いですか?」と聞くより、
「貴院は幅広い業務を行っておられますが、お仕事大変ではないですか?」と気を遣うようなニュアンスで聞けると印象がいいです。
⑦残業が発生する場合はどうやって申告していますか?
残業の申請方法は病院によって様々です。
残業申請しやすい職場と、
申請しにくい職場があります。
毎日その都度上司に直接申請する場合、怖い上司には申請しづらく、「残業はするけど申請しない」ということが起こりやすいです。
残業の申告方法から推察するようにしましょう。
この聞き方は、あなたの「残業したくない」という気持ちが現れにくいです。
⑧有給や希望休が重ならないように決めている、申請するときのルールを教えてください。
残業と同様に、休みの決め方も病院によって様々です。
休みの取りやすさは、休みの申請方法に大きく依存します。
- 自分が休みたいところを休めるのか
- 上司に勝手に休みを決められるのか
この2つで働きやすさが大きく違うでしょう。
また、自分が休みたいところを休める場合は、有給消化率が高いことが多いです。
「休み(有給)は取れますか?」と聞くより、「できるだけたくさん休みたい」という気持ちが現れにくい質問方法です。
有給消化率が高くても、自分が希望した日に休めないとイマイチですよね。
⑨学会・研修会費用の補助はありますか?みなさん実際にどのくらい使われていますか?
学会、研修会は一回に数千円~数万円と、年間を通してはかなり高額になります。
スキルアップには必須である一方、高額となるため病院の補助があれば手取りに大きく影響します。
スキルアップ意欲のあるポジティブな内容であるため、ストレートに聞いても問題ないでしょう。
「申請しにくい雰囲気」がないか確かめるために、実際にどのくらい使われているのかも併せて確認しましょう。
⑩産休育休から復帰された方はどのくらいいらっしゃいますか?
今働いている薬剤師が「戻ってきたい」と思っている職場かどうかが分かります。
産休育休の取得は制度として存在するため、どの職場でも取得することは可能です。
しかし、人間関係が良くない職場の場合、結婚・出産・育休を機に退職するママさん薬剤師は多いです。
産休・育休を取る予定のない方でも、職場の雰囲気を推察する一つの指標として有効だと思います。
⑪スタッフ年齢層の分布を教えてください。
若手の入れ替わりが激しい職場は、職場の雰囲気が悪いことが多いです。
年齢層分布は必ず確認しましょう。
⑫毎年何人くらい職員を採用していますか?それは人員枠拡大と欠員補充ではどちらでしたか?
年齢層分布と同じ理由です。職員の枠に対して採用の数が毎年多ければ、入れ替わりの激しい職場ということになります。
しかし、あまり退職者が出ない職場でも業務拡大によって採用枠を増やしている病院もあるので確認しましょう。
⑬3年離職率は算出されていますか?
おそらくほとんどの病院が算出していないと思います。
これに続く薬剤部長(見学対応者)の言葉が重要で、最近の退職の状況や若手がしっかりと残っているか、それに対してどう思っているかがなんとなくわかります。
もちろん、算出していればとても有用な指標です。
⑭住宅手当は出ますか?
賃貸に住む方は、手取り収入に直結するため必ず確認しましょう。
病院見学でするべき質問:レジデント編 4選
病院薬剤師は、レジデントや非正規職員からのスタートというケースも少なくありません。
レジデント終了後のキャリアや、正規職員にどのくらいでなれるのかが重要な情報です。
レジデントを目指す方は「勉強」の意識が強く、就職活動時にあまり気にしない方も多いですが、質問しておかないと後悔すると思います。
⑮毎年どのくらいの人数が正規職員に上がりますか?
入職順で正規職員に登用される場合、自分が正規職員になるまでの期間がある程度予測できます。
「欠員が出たら」と言われることもあると思いますが、毎年どの程度欠員が出るかを知っておくことも重要です。
⑯正規職員になった方の在籍年数はどのくらいでしたか?
正規職員に登用される毎年の人数とあわせて質問しましょう。
毎年の人数は、「だいたい〇〇人くらいかな」とおおざっぱな回答になると思いますが、在籍年数は具体的な数字が存在します。
⑰正規職員との待遇の違いを教えてください。
レジデントの待遇は公表されていることが多いですが、正規職員に登用された後の待遇が公表されていることは少ないです。
質問しなければわからないことであり、レジデントの期間を我慢できるかどうかの判断基準として重要です。
ネガティブな印象を受ける質問ではないので、ストレートに質問しましょう。
⑱産休・育休を経て正規職員になった方はいらっしゃいますか?
レジデント期間に産休・育休となり、正規職員への道を諦めてしまう薬剤師は多いです。女性薬剤師にとって大きなハードルとなります。
「レジデント期間でも産休・育休は取れますか?」と直接は質問しづらいと思うので、実績を確認して薬剤部長(見学対応者)の反応を観察しましょう。
まとめ:病院見学での質問は順番と聞き方に気を付ける
病院見学の時点からすでに選考は始まっていると考えて行動すべきです。
病院見学でする質問内容で、あなたの印象が決まるでしょう。
とはいえ、「残業月平均10時間くらい」などありきたりな回答ではなく、
- 帰宅時間が何時くらいになるのか
- 残業した分しっかりと残業手当が出るのか
など、あなたの働きやすさに直結する情報は得なければなりません。
質問の順番と聞き方を工夫し、ネガティブな印象を与えずに必要な情報を得られる質問をするようにしましょう。
このほかにも、いい病院の選び方や、転職活動時にやるべきことなどについても別の記事(下記のリンク)で紹介しています。
病院薬剤師が年収を上げるには、職場選びが重要です。
このサイトでは、病院薬剤師が年収をあと150万円あげる3つの力について解説しています!
3つの力のうち、本当に知っておいてほしい「職場」の力について現役病院薬剤師やくごろうがまとめています。