新薬やニュースざっくりまとめ

新薬勉強ざっくりまとめ2021年2月28日

こんな方へ
  • 新薬がどんどん出てきて、毎回把握しきれない!
  • 新薬のどの情報が重要かわからない!
  • 今後その新薬を扱うかわからないし、まず要点だけ知りたい!

毎日激務の薬剤師は、新薬の情報をタイムリーに把握することはほとんど無理ですよね。私は病院薬剤師として大規模総合病院で勤務していますが、今後扱うのかもわからない全ての新薬を調べる時間がないので、ざっくり特徴だけ把握することにしました。

そこで、この記事では新薬の特徴と要点をざっくり簡単に現役病院薬剤師やくごろうが解説します。

この記事を読めば、これから世の中に出てくる新薬を時間をかけずに勉強でき、いざ必要になったときに調べることがとても楽になります。
毎日激務で、新薬について簡単に把握したい薬剤師の方におすすめです!

それでは順番に見ていきましょう

2021年2月22日、厚生労働省 薬事・食品衛生審議会医薬品 第二部会が開催され、新薬の承認可否が審議されました。

※ざっくりまとめ用ですので、正式な名称や用法用量は参考資料などから確認お願いします。
※正式承認は未ですので、ご注意ください。

アリケイス吸入液

「MACによる肺非結核性抗酸菌症」に対して吸入液が新規承認申請

成分名:アミカシン硫酸塩

メーカー:インスメッド

申請適応:適応菌種:アミカシンに感性のマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)、適応症:MACによる肺非結核性抗酸菌症

用法用量:590mgを1日1回ネブライザを用いて吸入投与。

これまで注射薬のみであったアミカシン初の吸入薬として、MACによる肺非結核性抗酸菌症に対して申請。海外では承認済み。肺非結核性抗酸菌症(肺NTM症)のほとんどをMACが占める。肺MAC症の標準治療は、リファンピシン+エタンブトール+クラリスロマイシン±ストレプトマイシンorカナマイシンの多剤併用療法。

ジクトルテープ

「各種がんにおける鎮痛」に対して全身投与型経皮吸収製剤として新規承認申請

成分名:ジクロフェナクナトリウム

メーカー:久光製薬

申請適応:各種がんにおける鎮痛

用法用量:1日1回2枚を貼付。1日3枚に増量できる。

NSAIDs初の癌性疼痛に対する全身投与型経皮吸収製剤。フェントステープと同様のTDDS(Transdermal Drug Delivery System:経皮薬物送達システム)を使用。3枚貼付でジクロフェナクSRカプセルと同等の曝露量。非癌性疼痛にも適応拡大申請予定。

アキュミン静注

「悪性神経膠腫用PETトレーサー」として新規承認申請

成分名:フルシクロビン(18F)

メーカー:日本メジフィジックス

申請適応:初発の悪性神経膠腫を疑う患者における腫瘍の可視化。ただし、磁気共鳴コンピューター断層撮影検査による腫瘍摘出計画時における腫瘍摘出範囲の決定の補助に用いる

放射性フッ素標識フルシクロビンがアミノ酸トランスポーターにより腫瘍細胞に取り込まれるPETトレーサー。日本脳神経外科学会から早期承認の要望書が提出されている。

ダラキューロ配合皮下注

「ダラザレックスの皮下注製剤」として新規承認申請

成分名:ダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼアルファ

メーカー:ヤンセンファーマ

申請適応:多発性骨髄腫

Halozyme Therapeutics社のヒアルロニダーゼを配合することで長時間点滴が必要であったダラザレックス点滴静注の皮下注を可能にした製品。外来治療へ追い風。海外数か国で使用されている。同技術はハーセプチンなどもすでに海外で使用されている。

ベネクレクスタ錠

「急性骨髄性白血病」に対して適応追加

成分名:ベネトクラクス

メーカー:アッヴィ

申請適応:急性骨髄性白血病

強力な寛解導入療法の適応とならない未治療の急性骨髄性白血病に対してアザシチジン(ビダーザ)と併用で申請。高齢者やPS不良例の初回治療選択肢に。再発難治性の慢性リンパ性白血病からの適応拡大。海外ですでに使用されている。

ポライビー点滴静注用

「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」に対して新規承認申請

成分名:ポラツズマブ ベドチン

メーカー:中外製薬

申請適応:再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)

再発難治のDLBCLに対してベンダムスチン(トレアキシン)+リツキシマブ (BR療法)と併用で使用。抗CD79b抗体薬物複合体。同時に、BR療法の再発又は難治性のDLBCLへの適応拡大も報告品目として承認。

レンビマカプセル

「切除不能な胸腺がん」に対して適応追加

成分名:レンバチニブメシル酸塩

規格:4mg、10mg

メーカー:エーザイ

申請適応:切除不能な胸腺がん

用法用量:1日1回24 mg適宜減量。

甲状腺がん、肝細胞がんに続く適応拡大の申請。肝細胞癌に対してはレンビマ+ペンブロリズマブ(キイトルーダ)併用も今後申請予定。

ペマジール錠

「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」に対して新規承認申請

成分名:ペミガチニブ

規格:4.5mg

メーカー:インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン

申請適応:がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん

用法用量:1日1回13.5mgを14日間投与、7日間休薬。

初のFGFR2阻害薬。副作用の高リン血症をカバーするために炭酸ランタンを併用。胆道がん患者のFGFR2融合遺伝子陽性率は数%程度。

アダリムマブBS皮下注「MA」

「ヒュミラのバイオシミラー3剤目」として承認申請

成分名:アダリムマブ

トレアキシン点滴静注用

「再発又は難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」に対して適応追加

成分名:ベンダムスチン塩酸塩

ビダーザ注射用

「急性骨髄性白血病」に対して適応追加

成分名:アザシチジン

同様に審議されたベネクレクスタ錠(ベネトクラクス)と併用のため、骨髄異形成症候群(MDS)に加えて適応追加。海外ではすでに使用されている。

炭酸ランタン顆粒分包

「FGFR阻害剤投与に伴う高リン血症の改善」に対して適応追加

成分名:炭酸ランタン水和物

同様に審議されたペマジール錠(ペミガチニブ)の副作用対策として併用のため適応追加

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Halozyme Therapeutics社のヒアルロニダーゼは、海外ではダラザレックスの他に、ハーセプチン、ハーセプチン+パージェタ、リツキサンにも承認されています。

日本では、ハーセプチン+パージェタの皮下注製剤も臨床試験中です。

>>>Halozyme社($HALO)の新技術;抗がん剤の点滴時間を短くする

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主な参考情報

厚生労働省;薬事・食品衛生審議会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/indexshingi.html

ミクスオンライン(簡単に無料で見れるニュース)
https://www.mixonline.jp/

日刊薬事(薬事・食品衛生審議会の議題は無料)
https://nk.jiho.jp/