新薬やニュースざっくりまとめ

新薬勉強ざっくりまとめ2021年5月28日



こんな方へ
  • 新薬がどんどん出てきて、毎回把握しきれない!
  • 新薬のどの情報が重要かわからない!
  • 今後その新薬を扱うかわからないし、まず要点だけ知りたい!

毎日激務の薬剤師は、新薬の情報をタイムリーに把握することはほとんど無理ですよね。私は病院薬剤師として大規模総合病院で勤務していますが、今後扱うのかもわからない全ての新薬を調べる時間がないので、ざっくり特徴だけ把握することにしました。

そこで、この記事では新薬の特徴と要点をざっくり簡単に現役病院薬剤師やくごろうが解説します。

この記事を読めば、これから世の中に出てくる新薬を時間をかけずに勉強でき、いざ必要になったときに調べることがとても楽になります。

毎日激務で、新薬について簡単に把握したい薬剤師の方におすすめです!

2021年5月28日、厚生労働省 薬事・食品衛生審議会第二部会が開催され、新薬の承認可否が審議されました。

※ざっくりまとめ用ですので、正式な名称や用法用量は参考資料などから確認お願いします。

※正式承認は未ですので、ご注意ください。

タズベリク錠

再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫に対して承認申請

成分名:タゼメトスタット臭化水素酸塩
メーカー:エーザイ
申請適応:再発又は難治性のEZH2遺伝子変異陽性の濾胞性リンパ腫(標準的な治療が困難な場合に限る)

エピジェネティクス関連タンパク質の一つであるEZH2のメチル化活性を阻害することで、細胞周期の停止及びアポトーシス誘導を引き起こし、腫瘍の増殖を抑制する。

濾胞性リンパ腫(FL)のうちEZH2遺伝子変異陽性は7~27%。

EZH2遺伝子変異陽性を判定するためコンパニオン診断薬を用いる。

ルタテラ静注

ソマトスタチン受容体陽性神経内分泌腫瘍に使用する放射性医薬品

成分名:ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)
メーカー:富士フイルム富山化学
申請適応:ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍

ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)は、ソマトスタチン誘導体とルテチウムの放射性同位体(177Lu)との錯体を有効成分とする放射性医薬品。

腫瘍細胞に発現する ソマトスタチン受容体(SSTR2)等に結合し、177Lu から放出される β 線により腫瘍細胞を傷害し、腫瘍の増殖を抑制。

放射性リガンド療法の一つである「ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)」。 腎被曝の低減のためにライザケア輸液と併用。

ライザケア輸液

ルタテラ静注による腎被曝の低減のために併用

成分名:L-リシン塩酸塩、L-アルギニン塩酸塩
メーカー:富士フイルム富山化学
申請適応:ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)による腎被曝の低減

輸液中に含まれる塩基性アミノ酸が腎臓で177Lu-DOTATATEの再吸収を阻害することにより腎被曝の低減。

ユニツキシン点滴静注

大量化学療法後の神経芽腫に対して承認申請

成分名:ジヌツキシマブ
メーカー:大原薬品工業
申請適応:大量化学療法後の神経芽腫

大量化学療法後の神経芽腫に対してフィルグラスチム及びテセロイキンとの併用で使用。

ジヌツキシマブは、マウス抗ヒトジシアロガングリオシド2(GD2)抗体の可変領域とヒト IgG1の定常領域から構成されるキメラ型モノクローナル抗体。

神経芽腫細胞等の細胞膜上に発現するGD2に結合し、神経芽腫細胞に対して抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性及び補体依存性細胞傷害(CDC)活性を誘導すること等により、腫瘍増殖抑制作用。

ハイヤスタ錠

再発又は難治性の成人T 細胞白血病リンパ腫に対して承認申請

成分名:ツシジノスタット
メーカー:Huya Japan
申請適応:再発又は難治性の成人T 細胞白血病リンパ腫

ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害作用を有する低分子化合物。

エピジェネティックな作用としてヒストン等の脱アセチル化を阻害することで、細胞周期の停止及びアポトーシス誘導を引き起こし、腫瘍の増殖を抑制。

報告品目:グラン、イムネース注

ユニツキシン点滴静注と併用で適応追加

成分名:フィルグラスチム
メーカー:協和キリン

成分名:テセロイキン
メーカー:塩野義製薬

申請適応:神経芽腫に対するジヌツキシマブの抗腫瘍効果の増強

やくごろうPick Up:神経芽腫の薬物療法

小児がんで有名な希少疾患ですが、これをきっかけにざっくりまとめていきます。

※ざっくりまとめ用なので、正確な情報は各ガイドラインや添付文書を参照ください。

神経芽腫とは神経の細胞にできる「がん」であり、小児期にできる固形腫瘍の中で白血病、脳腫瘍についで多いとされています。特に、5歳以下の小児の発症率が高いとされます。

神経芽腫は多様性を示すがんとして知られ、その治療はリスク分類に従って選択されるのが一般的です。

  • 中間リスク群:生検後に4〜8 コースの中等度の化学療法を試行し,二期的に原発腫瘍の摘出術
  • 高リスク群:化学療法(寛解導入→大量化学療法)・外科療法・放射線治療を総合した集学的治療

日本癌治療学会;小児がんガイドラインより

今回、予後不良とされていた再発神経または⾼リスクク治療寛解神経芽腫患者に対して、海外で使用されていた抗GD2抗体含む3剤併用レジメンと非劣勢を証明するという形で抗GD2抗体+G-CSF+テセロイキンが日本でも承認されました。

⼤原薬品⼯業株式会社;プレスリリース

やくごろう

治療法が少なかった再発・高リスク神経芽腫に対して、やっと日本でも使えるようになりました。

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主な参考情報

厚生労働省;薬事・食品衛生審議会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/indexshingi.html

ミクスオンライン(簡単に無料で見れるニュース)
https://www.mixonline.jp/

日刊薬事(薬事・食品衛生審議会の議題は無料)
https://nk.jiho.jp/